FENDER CUSTOM SHOP STRATOCASTER 1957 N.O.S
MASTER BUILT SERIES by DENNIS GALUSZKA


1956年からその翌年にかけて、それまでのアッシュ・ボディーからアルダー製へと仕様変更を遂げたストラトキャスター。ただしオプションカラーのブロンドモデルは例外で、従来通りのアッシュ製ボディーを継続。特にゴールドパーツ仕様のものは、女傑マリー・ケイとともに当時のカタログに掲載されたことから「マリー・ケイ」の愛称で親しまれることになった。そんな1957スタイルのブロンドモデルを、クロームメッキパーツ仕様で再現。ストラト史上でもっとも三角形に近いといわれるV型ネックなど、当時の様式を踏襲しています。それでいながらデニス・ガルスカとそのチームによる堅実なセットアップと、デニス独自の解釈によるサウンド・キャラクターを加味。往年のスタイルをトレースしているようで、じつは製作者の嗜好性がちゃっかり反映された、マスタービルトシリーズらしい1本です。




―ボディーセクション―

2つのピースで構成されたアッシュ・ボディーを、木目が透けて見えるように薄塗りしたブロンドフィニッシュ。下地までニトロセルロース・ラッカーを使用した、昔ながらのフルラッカー仕上げです。僕の中でアッシュ製のギターといえば「ガサガサ」「ペラペラ」「スカスカ」なイメージ。その音色に対してネガティブな印象しか抱いていませんでしたが、今回は良い意味で拍子抜け。高音域は必要以上にキンキンしないし、中音域はそこそこ粘るし、低音域にもハリがある。それでいてハーモニクスも豊かで、アッシュ特有の煌びやかな響きも健在です。適度に寸止めの効いた、バランスの良い鳴りに仕上げられていると思います。


―ネックマテリアル―

細かい目がギュッと詰まった、メイプル製ワンピースネック。ややキツめの7.25Rは、慣れるまでに難儀しました。1957タイプのご多分に漏れない、典型的なV型シェイプ。ネックの中央部に適度な厚みがあるから、手のひらにスッポリと違和感なくハマりますね。それでいながら両サイドの膨らみが抑えられているぶん、ひとまわり小ぶりに感じられます。これなら手の小さな僕でも、ネックの上から親指を出して軽〜く握りこめる。手が女の子みたいに小さい割には、薄過ぎるネックが苦手な僕にとっては福音となるシェイプです。Cシェイプなどの他のギターも色々と試しましたが、僕にとっては1957のVシェイプこそがドンズバでした。


―ピックアップ―

カスタムショップ謹製のFAT '50Sを搭載。「1950年代を想起させるネーミング」「1956年に入社したアビゲイル女史が開発にタッチしたらしい」とくれば、木枯らしが吹くような乾いた音色を期待したいところ。ところが実際は、ちょっと湿り気味。ムワァ〜っとした、熱っぽさもありますね。僕の思い描いていた音色とはまるで違いましたが、これはこれで凄く気に入りました。特にリアピックアップ使用時に、ガーガーとした音色になりにくいところが嬉しいですね。普通、ストラトって、リアだけがやたらとハスキーな音になりますが、その落差が小さく抑えられている。サウンドの幅は狭まったかもしれませんが、扱いやすさではベストです。


―アッセンブルパーツ―

マシンヘッドはクルーソンタイプ。1956年から数年間だけ採用されたオリジナルをイメージしてか、クルーソン風のロゴが1行のみ刻印されたものです。ピックガードは1プライ構造の8点留めで、塩化ビニール製。ブリッジはプレート部分とイナーシャブロックが一体化されていない、ヴィンテージライクなタイプです。また何かと装飾的になりがちなマスタービルトシリーズでありながら、ネックプレートに製作者などのサインが刻まれていないところがナイスですね。シリアルナンバーだけが刻印された、昔ながらのシンプルさには好感がもてます。アッセンブル類に関しては、外観的な特徴も含めてソツなくまとめられていると思います。









製作を指揮したデニス・ガルスカの証がヘッド裏に。 7.25Rのアーチは、慣れるまでが手強い。


飾り気とは無縁の、無骨な印象のネック。 シリアルだけが入れられた当時のスタイル。




 




アッシュの木目は見た目のバランスが良好。 作業台に固定する穴の痕まで再現された。


初期のストラトよりもコンターの縁がクッキリとしている。 センターにロゴの入った1956〜63年頃のスタイル。




 




17年ぶりに購入したギターです。この趣味とは長らく遠ざかっていたので、本当にご無沙汰でした。今回は予算内で買えるストラトで、試奏してビビッときたものならオッケーだったので、特にこだわりはありません。強いて挙げればスモールヘッドのワンピースネックが欲しかったので、それなら1950年代風のものにしようかな…くらいに考えていた程度。ヴィンージのサウンドを狙ったわけでもなければ、そもそも僕にはヴィンテージサウンドに関する見識がありません。

当然、このギターの音色がヴィンテージ風であるかどうかも、僕には見当もつきません。ひょっとしたら少し似ているかもしれないし、まったくの別モノかもしれないけれど、僕の好きな音色とプレイアビリティだったので即決しました。ガツン…とくる押し出しの強さはありませんが、温もりのある音で、バランスも悪くなく、コードの分離も良好で、とても弾きやすい。あ、ネックのラッカーで親指の滑りが悪いのと、表面のアールが少しキツめなのはクセモノだった(汗)

それにしてもマスタービルトって、本当にバリエーションが豊富ですね。ビルダーによって作風が違うどころか、1本ごとに個性が違うんですもん。同じビルダーの名のついた、それも似たようなタイプに見えるものでも、試奏すると音色のキャラクターがまるで違っていたりします。その中にはあまり鳴らない個体もありましたが、それとて“ハズレ”とは限らない。そのような特性の響きが好きなギタリストにとっては、最高の1本になり得るわけですから。

そもそも僕のストラトだって、この音が嫌いな人にとっては“ハズレ”です。どのギターを選ぶにせよ、自分との相性次第で正義にも悪にもなる。特に1本ごとに個性の異なるマスタービルトは、その傾向が強いかもしれません。いずれにせよ、以前の僕だったら、こんなギターはまず買わなかっただろうなぁ。キルトでもない、フレイムでもない、バーズアイも入っていない、ごくフツーのストラトを選ぶなんて…。僕もオジサンになったのかなぁ。いや、なったんだろうなぁ…。

ボディー:Light Weight Ash 2Piece ピックアップ:Fender Custom Shop FAT '50S
カラー:White Bronde ピックアップセレクター:5Position Switch
フィニッシュ:Nitrocellrose Lacquer  コントロール:1Volume / 2Tone
ネック:Maple 1Piecee マシンヘッド:Kluson Type
フレット数:21Flets ブリッジ:American Vintage Synchronized Tremolo

Copyright (C) Niyagotch All rights reserved.