SP1000 AMPでマイク・タイソンな音に激変!


 



こんなに音が激変するとは思わなかった!

なんと凄まじい!なんてド派手な音なんだ!

とてもポータブル機とは思えない!

さすがに出力2.5倍は、伊達じゃない!アイリバーのポータブルプレーヤー「SP1000」に、専用のアンプをかませた途端にアンビリバボー(死語)。想像を遥かに凌ぐ、異次元のパワーに圧倒されます。

これが本当にSP1000の音なのか?

…と、思わず我が耳を疑いたくなる激変ぶり。

いや、音のキャラクターは、まぎれもなくSP1000そのものですよ。各パートの音が決してとっちらかることのない整然とした鳴り方は、どう聴いてもSP1000そのもの。

…なのですが、全音域の押しの強さがハンパじゃなくビルドアップします。


どこまでも伸びる存在感たっぷりの高音域。

俺が主役だとばかりに前面に出てくる中音域。

まるで日本海溝の如く深く沈みこむ低音域。


…に、度肝を抜かれずには居られない!音の性質はSP1000そのものなのに、音の出方があまりにもド派手すぎるがために、まったく別のプレーヤーの音に聴こえてしまうほどです。




 
▲アンプを増設したとは思えないほど、本体とアンプがピタリと一体化する見事な意匠。


 
▲これまでの本体上部でなく、アンプ使用時は本体下部にイヤホンプラグを接続する。




しかもパワーだけの大艦巨砲でないのが「SP1000 AMP」の素晴らしいところ。

音質もドーンと向上します。

じつは今までSP1000の音質に不満を覚えることなど、微塵もありませんでした。従来のポータブル機よりも音質が高く、細かい音まで割としっかり鳴らしてくれる点が気に入っていたからです。

でも「SP1000 AMP」を装着すると、そこからさらに表層のヴェールを1枚・2枚と剥ぎ取ったかのような印象を受ける。ヴォーカルやギターなどの陰に隠れがちな小さな音まで、決して埋もれることなく素晴らしくクリアに聴こえます。SP1000本来の素養の高さが、専用アンプで格段にレベルアップ。

ビックリするくらいパワフルに進化しながら、よりノイズレスに聴こえるのは本当に凄いですよ。
SP1000単体とは比較にならないほど、細かい音がクッキリ・ハッキリと聴こえます。

そして何よりも嬉しいのが感性に訴えるアナログサウンド!

デジタルであることを忘れさせるほど、音の「つながり」「立ち上がり」「引き際」が滑らかになります。SP1000に搭載されたDAC(デジタル⇔アナログ変換機)って、こんなに底力があったのか!?

特にヴォーカルの声の余韻や、楽器の残響音の艶やかさは鳥肌モノですよ。その空間に音がしっかりと響いてるな…という臨場感がビシバシと伝わってくる。ゴォォォォォォォ…と地の底から湧き出てくるような、深く芳醇な低音域とあいまって…

作品の熱量や空気感も感じとれる
はずです。

よくオーディオ機器の広告やレビューに「まるで奏者が目の前にいるかのような臨場感」なんて見出しが景気よく踊っていることがあるけれど、正直それほどの臨場感をポータブル機で経験したことは過去にありませんでした。あくまでも「良い音だな」という範囲内で感動するくらい。

でも「SP1000 AMP」で聴くと、音源によっては本当に目の前で演奏しているかのような熱量を感じとれるんです。冗談抜きで「いま目の前にスティーヴィー・レイ・ヴォーンがポツンと座って、Little Wingを爪弾いてる〜」なんて思っちゃいましたもん。自分と奏者が同じ音楽空間を共有しているかのような体験ができるのは、本当に驚きました。パワーだけでなく、繊細な描写力も十二分に持ち合わせています。

ヘビー級にパワフルでありながら、決して鈍重にならないクオリティも備えているという意味で…

全盛期のマイク・タイソンな音。

フック、フック、アッパー、アッパー…とくる強烈なラッシュを、まるで軽〜中量級のようなキレで畳み掛けてくるのだから、聴いていて楽しいなんてモンじゃない。ワイルダーやフューリーとは違います。




 
▲本革ケースの裏側をスリット状にして、アンプ使用時の熱を放ちやすく工夫している。


 
▲ケースのフチが太いため、スワイプの反応が悪く、アンプのON/OFF操作にイライラ。





ただしハイゲイン使用時のスタミナはダグラスに負けたタイソン。

バッテリーが約5〜6時間でカラータイマー切れ。SP1000単体と違い、こまめに充電をしなくてはなりません。ローゲインなら約9時間ほど持続するみたいですが、僕はハイゲイン派なのでバッテリーがどんどん減ってしまいます。

しかも「SP1000 AMP」を装着するととにかく重い!!!

約600gと明らかに体重超過です。

さらに本革ケースのフチが太くなってしまったが故に…

スワイプの反応が悪くなった
のもマイナス点。

アンプのON/OFF操作をするたびに、スワイプしづらくイライラします。

「SP1000 AMP」装着時の欠点を要約すると…

@ハイゲイン使用時のバッテリー持続時間が短い。
A本体が重くて携帯性が悪くなる。
B本革ケースを使うとスワイプの反応が悪くなる。


…という3点ですが

それでも後戻りする気にならないほど高音質です。

その躍動感あふれるアナログ的サウンド

…に一度でも惚れ込んでしまうと、欠点なんて取るに足らない小さな事象に過ぎない。少なくともSP1000単体に戻そうなんて気は、サラサラないです。「SP1000 AMP」装着時の音と比べてしまうと、どうしても貧弱でショッパイ音にしか聴こえなくなってしまうので…。

では新型のSP2000ならどうか?僕の駄耳で聴き比べた印象を、一覧表にまとめると…


機種名  音質の細やかさ  パワー
 SP2000  大横綱  スーパーミドル級
 SP1000+専用AMP  横綱  ヘビー級
 SP1000  大関  ウェルター級


大相撲やボクシングに興味のない方にとって???な表現ばかりで申し訳ありません。

繊細な描写力はSP2000が最強ですが、そこに「パワー」や「艶やかさ」などの要素を絡めると甲乙つけがたくなる。それほど「SP1000+専用AMP」の組み合わせは、魅力的な音を奏でます。

ハアァ〜ッ…とタメ息が漏れるのがSP2000。

ウオォ〜ッ…と熱くなるのがSP1000 AMP。

メタルやプログレ、フュージョンにさらなる熱量を…という僕にとっては「SP1000+専用AMP」のほうが断然好みでした。イケイケ・ドンドンな勢いの中に、キラリと光る音質のよさがあって面白い。

SP2000にするか?それもとSP1000に専用AMPを増設するか?
いまSP1000をお手持ちの方にとって、非常に悩ましい選択を迫られそうです。

【使用環境についての注意点】
僕が使用しているイヤホンは「オリオラス 2nd Gen.」を「Labkable Pandora 2.5mmバランス」でリケーブルしたものです。音が絶対に刺さらないオリオラスなので気になりませんでしたが、他のイヤモニは高音域がピーキーになる傾向が強いので、「SP1000 AMP」を使用すると高音域が耳にツーンと刺さってしまったり、音自体が歪んで聴こえてしまうかもしれません。僕の戯言レビューを決して鵜呑みにせずに、まずはご愛用のイヤモニを使用して、専門店でとことん試聴されることを強く推奨します。



Copyright (C) Niyagotch All rights reserved.