万年筆コレクターが泣いて喜ぶペンスタンド




…というタイトルは、決して大袈裟ではないだろう。なんせ観賞用の万年筆スタンドは、5本用までしか売ってない。画像のような10本用は存在しないのだ。実際、文具店や雑貨店にも、ネットショップにも皆無。丸善や伊東屋のスタッフですら「見たことがない」とのこと。それなら自作するのがてっとり早い。ホームセンターの加工サービスを利用すれば、簡単に作れてしまうのだ。

■これがオレ流「観賞用スタンド」の定義!
僕はコレクターではないけれど、万年筆などの美しい装いが大好き。だからこそ外観をそっくり眺めることのできる、シンプルなデザインを追求した。次に重視したのは半円形の溝。これがいかにも「ペン専用」とばかりにフィットする。万年筆の尻軸にキズがつかないようにするべく、土台にコルクを使用した。これらを満たさないスタンドは腐るほどあるけれど、観賞用としては不適正だ。

■マニアご用達の「パイプスタンド」と比べて
万年筆などを格好よくディスプレーするのに、喫煙具のパイプ用スタンドを使う方も多い。これなら7本用までが売っているし、デザインも格調高い。ただしパイプ用の設計なので、横幅がデカくて邪魔。7本用で30cmもある。その点、今回の自作スタンドは10本用で横幅20.5cm。仮に30cm幅なら、15本用が作れる計算になる。パイプスタンドの2倍以上もコンパクトなのだ(エヘン)



さあ作ってみよう(…といっても自分でするのは研磨と仕上げだけ)



▲東急ハンズで加工。木のブロックに15mm径の穴を10本開けて、上から真っ二つに切断すると「半円形の溝」に。ただしこの加工をしてくれるホームセンターは稀で、東急ハンズでも新宿店でNG、横浜店ならOK。同じハンズでも対応が違う。



▲こちらも東急ハンズで加工。寸法に関してシビアになる必要はないけれど、問題は傾斜の角度。あれこれとやってみたところ、55度くらいが丁度よいと思う。 ▲鉄道模型用の道床コルクで厚さは7mm。横浜・馬車道の篠原模型店でゲットした。断面が「斜めカット」なのでデザインがグレイツ。205×28mmにカットして使用した。



▲棒にサンドペーパを巻いていざ! ▲溝に沿ってシコシコと磨くべし! ▲角の面取り処理も忘れずに。
仕上げの良し悪しを決めるのは研磨。ここに手間を掛けるかどうかが勝負の分かれ目だ。特に半円形の溝は、サンドペーパーを駆使してツルツルに磨いておきたいところ。目の荒い40番のサンドペーパーでザックリ磨いた後、徐々に100番〜200番〜300番〜400番と細かくしていくのが吉。お気に入りの万年筆と直に接する部分なので、魂を込めて美しく仕上げてほしい。



風格あふれる色艶にするには、オイルorニスorワックスのいずれかで仕上げたい。ただしオイルやニスは臭いが欠点で、大事なペンに感染したら一大事!特にレモンオイルの臭いは強烈で、再度サンドペーパー掛けでもしないとなかなか落ちない。そこでお勧めなのが蜜蝋由来の天然ワックス。ほとんど無臭なので安心だ。ただしラベンダー等の香りのする製品もあるので(メーカーめ余計なことを…)、買う前に必ず臭いをチェックすること。



▲カッターでコルク道床をバッサリ。 ▲軽く断面を整えて本体に接着。 ▲スタンドを接着していよいよ完成!


僕のようなブッキー大魔王でも簡単に作れてしまうので、器用な方ならもっと素晴らしいスタンドが作れるはず。レザーを張ったり、コルクシートで覆うなど、アイデア次第でいくらでも進化させることができる。コレクションの多い方は、ぜひとも30〜40本用の超大作にチャレンジしてほしい。今回の費用は材料費+加工代の3,000円に、接着剤やサンドペーパー代を含めて合計5,000円。「こんな加工オーダーは初めてです」と言いながらも、わがままな注文に応えてくれた東急ハンズ横浜店のスタッフさんに感謝。お気に入りのコレクションをデスクに並べて、仕事の合間にニンマリ…。そんな至福のひとときを、あなたもぜひ実感してください。



▲コルク板の出幅を10mm程度にすると見栄えが良い。 ▲中央のスタンドはこれくらい幅があると安定する。




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