Labkableの「Pandora」は、限界知らずのモンスター


 



とにかく音の安定感がハンパじゃない!

不快な歪みなど皆無の「ゆとり感」

それでいて限界MAXのようなシビレる音!

野球でいえば、精密機械グレッグ・マダックスのクレバーな制球力と、ノーラン・ライアンの恐怖の剛速球が高次元で融合したようなもの。時速160km以上の剛速球を狙い通りのコースにバシバシ投げて、つねに15奪三振以上を築きながらも、9回完投・無四球でケロッとしているようなものです。

これ、凄く矛盾していると思うんですよ。

一般的に、剛速球ばりに刺激的なサウンドのケーブルというのは、まるで制球力に不足するかのように音がバタバタと暴れてしまう。逆に安定感の高いケーブルになると、今度はどことなく刺激に欠けてしまうというか、アグレッシブさが足りずに歯がゆさを感じてしまうものです。

ところがLabkableの「Pandora」ときたら…

音の華やかさスーパーグレードアップ!

音の質感の良さスーパーグレードアップ!

音の安定感&重厚感スーパーグレードアップ!

出し惜しみは一切していないようで、底知れぬ潜在力を感じさせます。

相反する要素を備えた物凄く欲張りなイヤホン用ケーブルです。




 
8芯で構成されたLabkable「匠」が平面的に編まれているのに対し、10芯で構成された右側の「Pandora」はクロスロープのように立体的。多芯タイプながら柔軟性は秀逸です。


 
デフォルトでセットされる2.5mm用の4極プラグは、アイリバーの「Astell&Kern」ブランドで販売されているアルミ製。DAP接続時にカチッとしっかり固定されるので信頼性が高い。





そんな「Pandora」の長所を、きわめて分かりやすく実感できるのがヘヴィメタル。

使う音の種類がハンパじゃなく多いジャンル
だからです。

ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムの基本編成に加え、シンセサイザーを駆使した打ち込み系の音から、ブラスセクションの音。はたまたオーケストラの音や、シタール等の民族楽器の音まで飛び出す有様。

ギターひとつとっても「ギュイイイ―――ン」と下品に歪んだエレクトリックギターの音が、全編にわたって突き刺さっているものだから…

音がメチャクチャとっちらかっている!

…んです、ヘヴィメタルというやつは。

特にギターの「ギュイイイ―――ン」が入ってくると、他の楽器の音まで荒れてしまう。細部まで注意して聴いていると、ドラム等の音が明らかに劣化して聴こえることも珍しくありません。マスタリング技術の発達した現代でさえ、ガサガサと荒れた音質の作品が目立ちます。

そこで「Pandora」の出番です。このケーブルでヘヴィメタルを聴くと…

「音荒れ」が改善されたように聴こえる。

もちろんケーブルを変えたからといって、元の音源の内容が改善されることは絶対にありません。それでも「Pandora」に変えると荒れていた音が改善されたように聴こえるのは、一般的なケーブルでは伝えきれない音まできっちりと伝えることができるので、音のキメや繋がりが滑らかになるからだと思われます。

とにかく音の情報量がハンパじゃないケーブルです。

それなりに良いイヤホンを使っていると、つい「もう聴こえない音はないだろう」とタカをくくってしまいがちですが、ケーブルを「Pandora」に変えるとビックリするくらい音の情報量が増す。

それに加えて、音のリアリティーが格段にアップします。シンバルの音ひとつとっても「いかにも金属の円盤が響いてるな〜」とシズル感がたっぷりに聴こえる。楽器の音の質感が、恐ろしく向上することから…

ジャズを聴くと最高!

「Pandora」の長所が実感できるのはヘヴィメタルです…などと書いておきながら心苦しいですが、このケーブルにするとあまりにも生楽器の音が気持ちよく聴こえるものだから、ついジャズ系やアコースティック系の音楽にシレッと浮気したくなるんです。それも主たるメロディーだけでなく…

楽器の擦れる音や、打撃音にも注目してしまう。

…という、ちょっとディープな愉しみ方がクセになります。弦楽器がキュッと擦れる音とか、楽器の振動する音とか、細かいアタック音とか、後ろでシャカシャカ鳴ってるブラシの音が、恐ろしいほどリアルに聴こえる。ちょっとした摩擦音・振動音・打撃音が、あまりにも気持ちよく聴こえるものだから…

「生録」をする人の気持ちが、少し理解できたような気がします。さすがにマイクやパラボラ(古い)を片手に、大自然の中に分け入っていく勇気はないけれど。




 
耳をガッチリと挟むのでなく、絶妙な強さ加減で心地よくフィット。耳に違和感を与えにくい適度な装着感で、10芯タイプの(多少の)重さにもズレにくく安定感が満点。


 
こちらが「Pandora」に付属する一式。カーボン調の樹脂製ケースに、ジルコニアがセットされた紙製の内箱の他、ギャランティカードや巾着(きんちゃく)袋がセットされています。




また「Pandora」は特定の音域を強調するタイプでなく、すべての音域をまんべんなくグレードアップするケーブルです。そういう意味では同社の「匠」というケーブルの延長線上にある製品といえます。

ただ「匠」の場合は、どちらかといえば刺激の少ない優等生タイプ。野球の投手でいえば「奪三振や個人タイトルよりも、チームの勝利を最優先させる」手堅いエリートです。

ところが「Pandora」はナルシストなまでに自分本位。

圧倒的な内容で、敵も見方も黙らせるタイプです。

使われているケーブルは2種類。まずは5Nの純銀のまわりを、24金メッキされた7Nの純銀が覆うケーブルが4本。さらに5Nの純銀のまわりを、7Nの純銅が覆うケーブルが6本という変則的な組み合わせです。

そして肝心の使い勝手は10芯タイプとは思えないほど良好。

多少の重量感があるのは10芯タイプだから仕方ないとして、このLabkableというメーカーはケーブルを編み上げるのが凄く上手い。8芯タイプの「匠」もそうですが、この本数にしては非常にしなやかです。しかも耳に心地よくフィットしてズレにくいのに加え、タッチノイズもほとんど気にならないことから…

屋外でガンガン使うべきケーブルであると断言します。

そもそもこの手のポータブルグッズは(尾崎豊の唄じゃないけど)騒がしい街角の雑踏の中で使うものだから、より音が明瞭に聴こえるものを使うのは理にかなっています。そのためケーブルを選ぶ際に、実用性の優劣はきわめて重要なポイントになり得ます。

それに実用本位といえばエイジング不要で良い音がするのも嬉しいですね。

Labkableはすべてのイヤホン用ケーブルに、12〜60時間程度のエイジングを施してから出荷しています。そのため新品購入時にありがちな「オイオイ試聴したケーブルの音とぜんぜん違うじゃんかよ」「まさか不良品をつかまされたかな?」と疑心暗鬼にさせられる心配もありません。

それにしても各社ともケーブルの長さ120cmって、短すぎやしませんかね?

ポータブルプレーヤーを手提げ鞄に入れて使用する身にとって、標準の120cmじゃ短すぎて足りないよ…ということで、長さ160cmでも快く受注してくれるLabkableのようなメーカーは重宝します。



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