横浜の文化の中心は関内、次いで石川町と桜木町。横浜駅の周辺には文化的な趣きが微塵もありません。どこにでもあるチェーン店ばかりの街並みは無個性そのもの。横浜らしい飲食店すらほとんど皆無です。永遠に続く工事で景観が悪いままの横浜駅構内といい、文明開化の街・横浜の玄関口と呼ぶにはあまりにも寂しい限りです。
そういう意味でも、中華街の京華樓(きょうかろう)が進出してきたのは画期的。横浜駅周辺で数少ない「横浜らしいテイストの飲食店」といえると思います。自慢の一品はなんといってもパンチ力が満点の陳麻婆豆腐。横浜中華街でも「福満園」「景徳鎮」と並び称される辛口の陳麻婆豆腐を、この横浜駅周辺エリアで堪能することができます。
その破壊力は言わずもがな。まさに激辛中の激辛です。そうとは知らずに注文し、あまりの辛さに「どうしよう…」と途方に暮れている方も見かけるほど。仕事で四川省に赴任していたらしきご年配の方が「現地の麻婆豆腐もここまで辛くなかったよ」と驚いていたくらいなので、やっぱり本当に辛いんだなーと改めて実感しました。
それになんといっても、ただ辛いだけではないんです。激辛の中にも奥行きのある深い味わいがやみつきの秘訣。唐辛子本来の辛さを活かした「辣味」や、舌が痺れる「麻」といった陳麻婆豆腐の基本的な味わいに加え、酸味などの旨味が複雑に絡んでくる。少しだけすくって舐めてみれば、辛さ以外のさまざまな味わいが凝縮されていることがよくわかります。 |