幻の豪華駅弁!大船軒の「横濱弁当」


 


「幻の駅弁」と聞くと、マイナーなローカル駅弁を連想しませんか?たとえば「僻地の○○駅でしか買えない駅弁」とか「観光列車や臨時列車でしか買えない駅弁」といった具合に、地方で少量生産される駅弁ほど「幻」と呼ばれることが多いと思います。ところが駅弁業者の中でも比較的メジャーな存在で、東京・神奈川の駅や百貨店でお馴染みの「大船軒」にも幻の駅弁があるのをご存知でしょうか?大船軒といえば名物の「鯵の押寿し」をはじめ、サンドイッチの普及に貢献したことで有名ですが、その幻の駅弁は意外にも「横濱弁当」(通称はまべん)。まるで崎陽軒のお株を奪うかのようなネーミングです。

この横濱弁当、普段は販売されておりません。大船軒に予約しようにも無駄足です。不定期で開催される「駅弁フェア」などのイベントでしか購入することのできない、筋金入りの「幻」なのです。大都市圏を根城にした業者の駅弁でありながら、数ヶ月に一度しかお目にかかれないという部分に価値がありますよ。しかもその内容ときたら、「幻の駅弁」の名に恥じない豪華版!その希少性だけでなく、弁当自体のクオリティーも大変に素晴らしいものがあります。それでいながらお値段は1200円とお手ごろ。ちょっと見栄えのするものだとすぐに1000円・2000円になる駅弁業界の相場からすると、決して高い値段ではありません。

まず肝心のメインディッシュですが、なんと肉料理だけで3種類がズラリ!牛肉・豚肉・鶏肉のすべてを制覇しています。その中でも特に目を引くのが「豚バラ肉のやわらか煮」。横浜中華街・廣東飯店の名物料理を、この駅弁のためだけにわざわざ取り寄せるという熱の入れようです。丹念に煮込まれた豚肉はまさに絶品。濃厚なコクとともに、口の中であっという間にトロけていきます。その他にもご当地発祥の名物にちなんだ「牛鍋風すき煮」や、横浜が国内のビール醸造の草分けであることに着目した「若鶏のフランドル風/ビール煮」と逸品ぞろい。メインディッシュだけでも「買ったよかった!」と実感することができます。

この肉料理に負けず劣らず、海鮮系も素晴らしい出来栄えです。お頭のついた海老は大船軒が季節の限定弁当などでよく使う食材ですが、今回は横浜=中華街を意識したのかチリソースで調理。マグロは上品な味付けの西京焼きにされ、サーモンはさっぱりとしたマリネにアレンジ。アサリの時雨煮は口休めの名脇役といえるでしょう。シラスを使った卵焼きまで含めると、海鮮系のおかずだけでも5種類。メインディッシュを脅かすほどの充実ぶりです。また主食のご飯は、白飯と中華おこわのデュエット仕立て。西洋野菜のカレー煮やザーサイまで添えられています。横浜、ひいては神奈川のご当地色を存分に活かした内容です。

とにかくこの横濱弁当、偶然にも出会えたら凄くラッキーですよ。迷わずに購入されることをお勧めします。駅弁フェアでは各地の有名駅弁に目移りするのを我慢して、僕はあえて横濱弁当を選んでいます。せっかくのイベントなんだから地方の駅弁にすればいいのに…といわれるかもしれませんが、それでも横濱弁当が好きで買ったしまうんです。正直、タラバ蟹やイクラをふんだんに使った駅弁にすればよかったかな…な〜んて思うことも多々ありますが…。地元で長く続く業者だから応援してあげたいし、なにぶん内容が素晴らしいですからね。まだ食べたことのない皆様、一度でいいからぜひご賞味ください。



     
手前が廣東飯店の名物料理・豚バラ肉のやわらか煮。奥がサーモンとパプリカのマリネ。綺麗な彩りが目を引きます。   横浜といえば牛鍋発祥の地ということで、横浜牛と椎茸などの野菜を盛り込んだ「牛鍋風すき煮」も秀逸です。


   
     
奥がチリソースで炒められた有頭海老。その手前が鮪(マグロ)の西京焼きで、左の手前が浅利の時雨煮。   かまぼこ、若鶏のフランドル風、しらす入り玉子焼き、西洋野菜のカレー風味和え、ザーサイと盛りだくさん!



 
贅を凝らした総勢13種類の内訳。お品書きの薀蓄を読むのも、地方色豊かな駅弁の楽しみですね。



 
ノスタルジーな掛け紙が目印。見つけたら即座にGETしましょう!文明開化のイラスト入りというのも洒落てますね。



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